み(仮)

the best is the enemy of the good

「暗戦」

暗戦
ジョニー・トゥ / 1999年 / 香港 / 90分
#死, 人生, 復讐, 責任(仕事)

末期ガンの患者である男が父の復讐を果たすために事件を起こす。展開が早く, 飽きさせない作りで楽しめた。さりげなく香港社会の現状を描き, 死と生を見つめる。ガン患者の男は刑務所でなければどこで死んだも構わないと言う。だが男が死んだ姿を見たものはいない。男は小児ガン患者のための基金に莫大なカネを寄付し, 姿を消す。こういった主張はハリウッド映画にはみられないものだろう。

私が初めて観たトゥの映画「冷たい雨に撃て, 約束の銃弾を」にみられるように, 虚心をもって見つめる映像は殆どない。映像的には「斬新」とは程遠いが, その分手堅く作られているようにも感じる。とは言え, 刑部が刑事をガン患者と錯覚し, これまでの傲慢さを詫びるとか, ロッカー越しに警察とマフィアが同じセリフを吐くなどといった, トゥお得意のコメディタッチなシーンも時折見ることが出来る。思わず顔が綻ぶ一瞬だ。
(12/17)