み(仮)

the best is the enemy of the good

2013-04-25

映画の感想をクリティカルに書いているつもりでも, 僕の駄文はネットだと数段読みにくい。今後は文面も体裁も綺麗にまとめていくつもりで, ブログに載せるのは簡潔な文章にしたい。かなり前に, 中央大学出版局から出ている『映像表現の地平』という欧米・日本映画の評論集を読んで, 自分には満足に「映画論」として映画を分析することができないだろうと感じた。だから, 自分の思ったことを映画を通して表現するつもりで, あくまでクリティカルなものを目指していきたいと思っている。

と言うのも, 僕にとって転換点となる出来事が二つあって, 一つはブログを移転したことともう一つは個人誌がようやく形になってきたことで, 趣味として映画を語ることが良い意味でまとまってきたというのがある。旧ブログではタグ編集が容易ではなく, 映画の感想を検索しやすいように「一つの映画」として感想をアップロードしてきたが, 今度のブログではタグを追加出来るので, 「映画」として検索することがかなり容易に出来るようになった。たとえば, フランス, ドイツ, 日本の映画をそれぞれ一本ずつ観た場合でも, タグを国ごとに付け, さらに映画と編集すればワード(単語)で検索したり, タグからまとめて検索したりと, どちらも可能になった。
 正直, 映画の感想としてまとまった長文をアップロードしても, 自分ですら読みにくいということがあったので, 最近は映画を観るスペースも落ちていた。僕は映画を一つ見る事に感想をその都度書いているのだけれど, それをブログ用に書き換えないといけないのも面倒だった。HTMLモードで記述していたので, わざわざHTMLタグを記述していたからだ。今のブログではそれすらも必要なく, 見たままに記述してくれるシステムなので非常に文章が書きやすい。

今後は映画の感想を簡潔にしたものをブログに, まとまったものを個人誌にしていこうと考えている。

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と言う訳で, 最近観た映画について。

・蜂蜜 セミフ・カプランオール, トルコ・ドイツ, 2010年
ミツバチのささやき」を思わせる映像と音の叙述が素晴らしい出来の作品。違いは色々あるが, おそらく参考にしたのではないかと思われる。ハリウッド映画に慣れ親しんでいる後輩(女性だが)と観たら, 「こんな映画もあるんですね」と言っていたが, 後輩の言葉に「絶句」と言うよりも「知性の衰退」を感じた。彼女にはこれから色々な映画を観てもらいたいと思う。
生活世界を没主観的な視点から切り取り, 音により映像を世界と明確に結びつける。その試みに感動する一作。

・唇を閉ざせ ギヨーム・カネ, フランス, 2006年
タイトルの邦訳が秀逸であるが, 映画はそれほどでもない。ラスト近くの返しとむせび泣き, 唇を合わせる二人が結末が暗いものだけに妙な印象として残る。

・夜と霧 アラン・レネ, フランス, 1955年
歴史を批判する観客に向けられた銃口は鋭い。収容所周辺のモノが映像としてどう映るかを意識的にとらえ, それらを時間の中に置く。これは有り体のプロパガンダ的映画とは一線を画す, 映像としての反抗である。アラン・レネのモノローグが随所に光ってもいる。

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フランス人の講師が, 「フランス人はあまり笑わない」と言っていたが, 「唇を閉ざせ」では会食をしながら笑うフランス人の姿が見られる。おそらく「笑わない」と言うのは会話中は笑わないという意味なのだろうが, 変な誤解を与える発言である。