み(仮)

the best is the enemy of the good

14番目の標的

14番目の標的
監督:こだま兼嗣 / 脚本:古内一成 / 1998年 / 99分

いまだにギャグに慣れない, 第二作。

この頃はまだ, コナンがひとつの長寿番組となるとは思われていなかったらしい。前半, 後半と趣きが異なるのも面白い。前半では犯人が通り魔のようであって, "いつ", "誰"が殺されるのかわからないスリルがある。一方の後半では, アクアクリスタルを舞台に限定し, 殺される順番や人間もある程度判っているし, また, スリルさの度合いも異なるように思われる。言わば, "いつ", "誰が"という前半でのスリルさに対し, 後半では"××が", "いつ"殺されるのかということを視聴者がじっと見る, そういうスリルさがあるようだ。ここには奇妙な安心感がある。それはたぶん, 原作やTV版コナンの殺人現場と符号するものがあるからだろう。但, 連続殺人というのはコナンの世界でもあまり見られないものであるのだが。

それにしても残念でならないのは, 犯人の殺人の動機である。あまりにもお粗末なものなのである。ある職業に誇りを感じていたとしても, いや, そうであるからこそ, 誇り故に殺人は抑制されるのではないか,と思われるからである。まあ, もちろんこの狂いがなければのちの展開にいかせない, ということは重々承知してはいるのだが, 全体を通して伏線回収が巧いのと, ストーリーが良かっただけに, 残念でならない。
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