み(仮)

the best is the enemy of the good

2013.3.29

「銀河」という映画を最近観たが, まとまった感想をブログに載せるつもりはない。twitterでも書いたが, 共に観た友人が印象文でもいいから感想を交えて書いてくれ, と頼んできたのもあるし, そもそもこの映画がとっつきにくいというのもある。まともに書こうと思えば, この映画の監督のルイス・ブニュエルという人の時代にどういう映画が作られたか, フランス映画が代表・象徴するヌーヴェル・ヴァーグとの絡みで書くか, 作品のテーマに沿って書くしかない。



テーマとしては「キリスト教批判」なのだが, 聖書の解釈が主で, 非キリスト教信者にはわかりにくい。このルイス・ブニュエルという監督, 浅学にして知らなかったが映画界では巨匠として扱われ, 論文も多く書かれているようなのだが, ほかの作品は知らないが「銀河」を観る限りではそこまで評価されるものなのか, と思う。構成はぶつ切りで荒いものだし, 肝心の内容が宗教の上に立つ宗教批判のようで, キリスト教を知らないものは当然何が悪いと言われているのかピンと来ないし, 本質的な批判になっていないように思われる。唯一, 科学を嫌う心性を持つ者が宗教に惹かれるのではないかと揶揄する場面があるものの, よく聞く批判の体で, 今観ると真新しいものではない。まあ, 制作当時は新しかったのかもしれないが, それでも特別に評価されるものでないのはたしかであろう。