み(仮)

the best is the enemy of the good

「AYAKASHI」アニメ版

  原作は知らないが、アニメの方はまあまあ面白かった。なので、原作をプレイしてから感想を述べたいと思う。制作は東京キッズというところらしいが、初耳だった。Wikipediaによると立ち上げたのが83年で、中堅どころだろうか。制作したアニメの中に僕が観たことのあるものはない。画の質はかなり高いし、動きも多い。アヤカシと呼ばれる、人を依り代とした異生物が物語の鍵になるが、そのアヤカシの存在感もよく描かれていたと思う。放送開始が2007年だから京都アニメーションが当時最高レヴェルの映像を作り、深夜アニメ業界を震撼させたあとである。スタッフロールをよく観てはいないが、おそらくデジタルでの映像処理が功を奏したのだろう。第二原画のシナ人たちの活躍によるものかもしれない。

 


 監督は高田淳という人だが、こちらもあまり売れている監督ではない。画はよく描けているのだが、魅せるところはもうひとつだっただろうか。ただ初めてAYAKASHIに触れるひとには観やすいアニメだったのではないだろうか。

 


 この手の美少女ゲームのアニメ化は原作を中心に描ききれないところがあって、たとえば恋愛モノだとヒロインが複数存在するのでメインヒロインだけか、あるいはサブヒロインのシナリオを拾いながら最後にメインヒロインという構成になるだろうか。後者が圧倒的に多いのだが、結末はメインヒロインとのエンドではない場合もある。その例が「true tears」だが、この作品は最後の最後で逆転が起こり、メインヒロインと思しき女の子は失恋した。なんともやりきれない作品であったが、斬新さはあった。ただ、結末をもう少し練って描いていれば…との不満も残る。

 


 あるいは二股を掛けた状態で終わる、というものもある。これはしかし、理想的でありすぎて純愛モノの美少女ゲームでやってもあまり面白くないと思う。「真・燐月」(原作は美少女ゲーム)というアダルトアニメでこの二股エンドを見たが、これは設定が血縁問題に絡むものなので、「まあいいかなあ」とは思う。が、複数の女の子が主人公を狙う、という前提で二人とゴールインして…おもしろいのだろうか。おもしろいならいいのだが。

 


 この「AYAKASHI」という作品はCROSSNET原作の美少女ゲームで、発売はWikipediaによると2005年とある。同ブランドの「H」シリーズとして「AYAKASHI H」という作品が2006年には出ていることを考えても、アニメ化はかなり早い。おそらくかなり売れたのだろう。僕も雑誌でこの作品を初見した際には欲しいと思ったのだが、結局買うことなく終わった。その後、ツインパックとして両作品が一本化されて出されたが、やはり売れたのだろう。ちなみにどれも市場には出回っており、近所のPCゲームを販売している店でも3店ほど確認した。ただし、5年たった今でも値段は高く、一番安い店でもツインパックが4,000円ほどする。一本ずつ売っている店もあったが、こちらは一本あたり3,000円ぐらいした。5年ぐらいすれば妥当な値段かもしれないが、アマゾンでも同じような値段だった。評価が落ち着いているのだろう。

 


  アニメ版の原作者表記はWikipediaによるとCROSSNET/APRICOTとあり、原作の方の表記と違うのがよくわからないが、CROSSNETは会社名でAPRICOTはブランド名とのことらしい。