み(仮)

the best is the enemy of the good

『輪廻ノムコウ』

http://www.amazon.co.jp/%E8%BC%AA%E5%BB%BB%E3%83%8E%E3%83%A0%E3%82%B3%E3%82%A6-%E9%9B%BB%E6%92%83%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%81%82%E3%81%8B%E3%81%A4%E3%81%8D-%E3%82%86%E3%81%8D%E3%82%84/dp/4840226520

 

amazonでのレビューだが二つあって、どちらも星一つというひどい評価なのだが、読んでみてそれほど悪いものでもなかった。

初めのブルーという人の評価で、「専門用語」というのがよくわからないが、たぶん文中で特別な意味として用いられている言葉だろう。たしかに最後の方で一息に説明がなされるのには辟易したが、理解できないほど複雑なものではないし、理解できないのだとしてもストーリーを台無しにするレヴェルのものではない。伏線が張られており、それが回収できていないのは確かだが、これは続刊を予定したため。「ジルベールの視点移動を、全く持って不明瞭な過去のシーンから持ってきている時点で駄目」というのもわけがわからない。プロットがわかりにくいというのならわかるが、破綻、とまではいっていない。電撃文庫なら70冊以上読んだのだろうが、しかし読者の理解不足という一言に尽きる。

 

次にはたちという人の評価だが、こちらはもっと意味がわからない。「地雷」って何だ? しかも、続編で伏線が回収されること(プロットや謎がうまく解消されること)を考えていない。発売日から現時点で7年が経過しているから、続刊はたしかに期待できないが、著者は続きを考えているらしいので、1巻だけで作品を評価するのも危険である。あとがきに書いてあったはずだが…。

 

プロットの消化うんぬんは、作者が熱を出したためにうまく書き出せなかったのだろうと思うが、それにしてはよく書けている。見直しはあったのだろうが、熱で朦朧とした頭で一応の構成を書き出したのは頑張ったのだろうと思う。

 

僕としては「森」が今後どうなっていくか、「リーインカーネーション」と魔女社会の禁忌をアルベールがどう折り合いをつけていくのかなど、心待ちにしている点は多い。著者は現在筆を折っているそうだが、今後何らかの形で続編が出ることを期待したい。ライトノベルの出来としてはそれほど悪くなかった。