み(仮)

the best is the enemy of the good

機動戦士ターンAガンダム 「地球光」 / 「月光蝶」

一晩かけて「地球光」と「月光蝶」という「機動戦士ターンAガンダム」の劇場版作品を観た. どうも面白くない. 私はTV放送された本編は観ていないから, それがターンAガンダムそのものに由来しているのか, 総集編という編集に由来しているのかはよくわからない. 但, どうも製作者がガンダムで遊んでいるように感じてしまう. 私のような悲観的な思考の持ち主は, こういう遊びを目の当たりにすると戸惑ってしまう.

監督の富野由悠季は, この作品の中に歴史や身分制, 民主主義や差別といったある面では現代的なテーマを盛り込んでいる. そうかといって面白いわけではない. マジメな作品というわけでもない. 舞台のアメリアは現在のアメリカのことであろうが, 西暦24世紀のアメリアは身分制の元, 明るく人々が暮らしているという皮肉も利いている. たぶん, 最後にロラン・セアックとディアン・ソレルとが一緒になったのは, 世界を美しいものにしようとする理想の表れであろう. その理想も含め, 作品の主張が私には安っぽいもののように感じた. この作品があまり気に入らないのはこのためであろう.

又, このアニメは既存のガンダムそのもののパロディとしても考えられる. ターンAガンダムがガンダムのように走ったり, ターンXガンダムという, Xガンダムそのままの凶悪さを伴ったガンダムが登場するのもパロディとしての特徴が表れている. この辺りはガンダムという作品をもう一度考えてみるきっかけとして, 面白いものであると思う. 富野の不信の態度がよく出ている.

ゆえに, 私が評価するのはパロディとしての部分と, もう一つ, 戦闘シーンのみと言うことになる. この戦闘シーンには残酷さがない. ただカッコよく, よく出来たロボットアニメを観ている気分にさせられる. それもガンダムがロボットアニメであるという皮肉として受け止められるだろう.