み(仮)

the best is the enemy of the good

2013-04-10

兼ねてより習いたいと思っていたフランス語を今年から習うことにした。卒業してから2年が経過し, 正直気後れのようなものを感じていたのでためらいがあったが, 以前から知っていた先生なので大丈夫だろうと思い, いざもぐる。

が, 早々に開講しないらしいことが判った。

理由は夜間主学生の不在。実はこの講義, 夜間主学生のための枠なのだそうで, 夜間主学生がいないと開講出来ないのだそうだ。「夜間主」とは夜間に開講する講義を主に受け, 卒業するシステムのことを言うのだけれど(たぶん), 2008年を最後に募集が停止。ちょうど私の入学した代で打ち切りだったからよく覚えている。前々から昼間主と夜間主で単位数の問題(夜間に開講する講義が少ない), 希望するゼミが満足に履修出来ない, などの問題があったのだが, 社会人枠を見直すことで夜間主が完全に廃止されたのだった。そうだった。大学を卒業して2年たつし, 夜間主なんて言葉, 二部問題で一度浮上したきりだったから忘れていた。あまり表立って出てこなかったのには理由がある。夜間主は「異様」な存在として扱われ, 常に例外, あるいは下位に置かれて, 言わば黙殺されてきた。かつては学費減免の恩恵から, 表立った差別もあったと聴く。

大学としては早々に決着を付けるべき過去で, かつての学生にあってはどうでもいい存在…それが夜間主というシステムであるのだが, これまでやや批判的に見てきた私が忘れていたのでは話にならない。その場にいる受講生も当然存在を知らないはず…と思いきや, 「先輩」としてまだ在籍している学生がいるらしいことが判明。先生言わく, 夜間主だから卒業が長くなる可能性も高い, とのこと。なるほど, そう言われれば…と妙に感動。かつてドイツ語の講義で苦学を共にした夜間主の学生は見なくなったが, まだいるんだなぁ。

先生としては, 夜間主の学生が一人でもいれば, ほかは全員もぐりでも構わないとのこと。一昨年はいたが, 昨年は不在だったらしく, このまま講義出来ないのではこの枠がもったいないから, 誰か知り合いにいないかと聞いておられたが, こちらはあいにくと知り合いがいない。このまま履修登録者がいない状況で講義をしたら当局から怒られるので, それは出来ないとのことだったが, 非公認のゼミとして教室を借りて行うということで何とかならないだろうかとは思った。

嬉しいことに, 先生は私の顔を覚えていらっしゃるらしく, 2, 3, 話が出来た。ちょくちょくもぐっていること, 学生でないこと, などを話したら, 私の連絡先を書いた筆跡を見て, この字も見覚えがあると仰っていたが, これには驚いた。ロシヤ語とドイツ語を中途半端に習ったことを話したら, 多言語話者かと驚いておられたが, さすがに買いかぶられすぎるのも困るので, 私の場合は趣味でしかないと訂正。

学生の質が高いのにも驚かされる。卒業生は私だけかと思っていたら, フランス語を2級まで取得し, フランスまで行っておいて, あえて講義を聴講しようという女性の卒業生がいたのには, 何となく勇気づけられたように思う。他に第二外国語を取っているが, フランス語を学んでみたいという学生がいたり, フランス語圏に行くので勉強してみたいという学生がいたのには, 向学心が擽られるが, 来週誰も来なければ開講しないと言うので, 残念だ。

とりあえず別の先生の講義を受けてみることにはするが, また新しく教科書を買い直さないといけないのが, ねえ。