み(仮)

the best is the enemy of the good

2013-06-12

Macbook Airの新モデルが発表された。Macbook Blackを中古の5万円で買おうかどうか悩んでいた僕には衝撃だった。今年でWindows XPがサポート対象外になるとのことで, 昔から興味をもっていたMacに乗り換えようかどうか悩んでいたのだが, 言ってもMacは高い。学生の頃ならいざ知らず, フリーターの貧乏暮らしの典型のような生活を送っているような僕にとっては, どんな中古品でもMacなら高く思える。

Macbook Blackを買おうかどうか悩んでいたのは, 値段に対してスペックが優れているからだ。現在使用している工人舎のモバイルPCと比べること自体が非低スペックの中流エンドユーーザーからすればお笑い種なのだろうが, この違いはそれ自体で魅力的だ。メモリは少なくとも1GB増となり, CPU, V-RAM, HDDも段違いのスペック。かなり魅力的に見える。

だが, 突然Macbook Airがアップデートとなり, 冷静になって考えるとそうも思えなくなってきた。いちばんの問題はOS。何とかLionで動作するといっても, 今度のAirは次期OSバージョンアップのための確かな布石で, OSがどれだけメモリやCPUを食うかでBlackが実用可能なものになるかが変わる。それなら倍近いカネを出してモバイル使いを目指してみるのも悪くないかも…。将来的にカネが貯まるようになればそのときMacbook ProやBlackを買えばいい。

ただ一つネックが。

デザインがあまり好きではないのである。だからこそBlackかどうかで迷っていたというのもあるが, Airだとどうもアルミが安っぽく思えるのである。たぶん枠の色が白っぽく, 薄いからなのだろうが, それがわかっていてもMacbook Proの黒い枠と比べるとどうしても見劣りしてしまう。Macの魅力の一つにデザイン性の魅力がある。マカーがデザインに新しさを見出すのはわかるが, それはMacの操作性というか, Macだからこそ合っていると感じられるデザインなのではないか。非Mac系の人からすれば, 数あるデザインのなかの一つでしかすぎないのではないか。そんなことを考える。

先日も携帯端末を変えよう, 変えよう, となんの気なしにauのホームページを見ていたら, infobar A02が目に入った。infobarの初代だけを知っているこちらとしてはあの大きさが好きになれないのだが, 動画などを見ているうちにiPhoneよりもデザインが僕の好みに合っていると気づいた。どうしてだろうか。

たぶんこういうことだと思う。iPhoneは個人が挿入したアイコンをタッチしていくことで独自の操作を構築できることに特徴がある。これは, 長くガラケーと呼ばれた, 企業が構築したもの(ケータイ)をなぞっていくだけの操作性に慣れ親しんでいた僕にとっては, おそらく衝撃的だった。だが, その反面でアイコンという点にこだわることを強要され, 触ることに飽きてきてしまう。宮崎駿が「オナニーしてるみたいで気持ち悪い」といったのにはおそらくそういう意図がある(しらないけど)。猿のセンズリのように遮二無二操作しても, 見える景色の本質に新しさが見当たらない。

一方でindobarの場合は, やはり固定の"景色"を内包していながらも, ルートに動き, すなわち自分で操作することでそのあたりの退屈さを紛らわす事が出来る。その辺りが新しいデザインとして僕は好きなのだが, やはりガラケーには違いないから2年ぐらいで飽きてしまうのだろうが。まとめると, iPhoneがどうしても点の間を通過していく操作性なのだとしたら, infobarはあらかじめある線の上に曲線を重ねる操作性があり, 自分で操作することに快感を得ることが出来る。つまり, 使用者のスタンスがどちらにあるか, 合理的なデザインとして捉えるか, 洗練されたデザインとして捉えるか, ということにあるのではないかと思った。

一見して, モノとしてしか見ないWindowsユーザーと同じ道を辿っているように思える。いまのMacは合理性を大きな信仰基盤とした信仰団体のようにも映る。僕はMacのデザイン性が流動的なものであることを, 強く望んでいる。