み(仮)

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25年目の弦楽四重奏

25年目の弦楽四重奏 "A LATE QUARTET"
ヤーロン・ジルバーマン / アメリカ / 2012年 / 106分

大分市にあるシネマ5 bisの方で鑑賞。前情報なしで, 幾らか不安があったが, 期待をいい意味で裏切る出来の良さだった。話はそこまで複雑ではない。結成25年目の演奏を前にしてメンバーの一人が引退を表明。それに輪をかけるように, 他のメンバーの間にも問題が起こり始め, 終盤は不和。問題は過去に触れ, メンバー同士の確執が深まっていくという話。僕は出来すぎた話をあまり好まないのだが, 音楽という物語を奏でる演奏家の話であるから, これは作品として自然に落ち着いていると思った。
最後の演奏の目配せ, 演奏, 言葉の使い方などは納得のいく感動を与えてくれる。音楽の良さは素人の私には分かるはずもないが, 演奏はおそらく失敗だったのだろうと思う。そうであるがゆえに, 彼らは演奏をし続ける。音楽は彼らにとって楽しみではなかったはずで, 苦痛であるためにフーガで繋がっていた。それが外れたときの音の凄まじさよ。何かが音楽で表されていたと思う。映画を観て泣いたのは本当に久しぶりだった。
(9/1, B)