み(仮)

the best is the enemy of the good

「時代屋の女房」

時代屋の女房
森崎東 / 1983年 / 日本 / 97分

#夏目雅子, 人情喜劇, 安保闘争, 戦後, 下町(大井町

「時代屋」という骨董屋で働く男と, 東京の下町に住む男女の, 戦後の一時代を描いている。時代は70年代だろうか, もしかしたら80年代かもしれないが, その辺りは判然としない。どちらにしても, 時代を描いた作品としてはつまらなく, 主人公たちに感情移入できないのでもやもやした。安保闘争や戦後を経験した主人公たちが, 結局は内面から変わることなく生きていくことに苛立ちを覚えるからかもしれない。

会話もドラマ的であまり好きではなかった。本作で夏目雅子の演技を初めて見たのだが, これもあまり好きではないし, なぜ彼女がそこまで持ち上げられるのかわからない。白血病という病気が, 不幸のヒロイン像を作り出しているのだろうか。興味がない。夏目よりも渡瀬恒彦の演じる安さんに中年男の魅力を感じるが, しかし安さんといい, 他の男たちもどうも下町テイストに見えるような気がしてならず, これもあまり好きではない。何より, ドラマの結末が明るくて好きではない。女が別れた男の許に帰って来ることなど滅多にないし, あったとしてもその女はろくな女ではないだろう。
(2.22), 評価:C