み(仮)

the best is the enemy of the good

咲のアニメ版観た。全国編をやっていて, それをniconicoで観た。麻雀のルールは分からない。期待もせずに見始めたのだが, 思いの他面白く, 全国編を11話ぐらいまで観てそういえば咲の原作はどうなってるんだろうと思い, ブックオフなどで10巻まで読んで, 阿知賀編も2巻ぐらいまで読んだところでアニメの無印版を観た。

無印版の本放送は2009年からで, 原作が僕の周りで話題になってたのが2008年頃だったと思うから, 凡そ6年ぶりに咲という作品に触れたことになる。その頃見なかったのはたんに食わず嫌いだったのもあるが, 一番の理由は麻雀が分からなかったからで, それは今でも分からない。ただ, 「咲」に限って言えば, 麻雀が分からなくてもある程度までは分かるようになるし, にわかさんの知識でも面白く観られる。もちろん麻雀のルールが分かった方がより楽しめるのだろうが, 筋としてはガチの麻雀マンガというより, 高校生雀士たちが全国大会を軸にどうつながっていくか+家族的な繋がりと, 成長を追う話で, 随所にスポコン少年漫画風の熱い(暑い)展開がみられるので, ある意味では王道と言うか, 安心してみられる。

アニメは, 基本は原作のストーリーを忠実に映像化しているので, 展開を追うだけであれば原作を追う必要は殆どない。比較考察する楽しみ方はあるが, あくまで展開を知りたいだけであればアニメを観た方が楽しめるかもしれない。むしろ, アニメオリジナルの要素もあって, 原作では語られない部分も多いのでアニメを見れば事足りるかもしれない。 以下, 紹介もかねて気になることなど。

麻雀マンガ・アニメとして

僕は麻雀を知らないから麻雀マンガ・アニメとしてこの作品がどのように位置づけられるのか, 非常に興味のあることなのだけれど, 麻雀を知らない一般のヒトからすれば, かなり不親切な作品と思うかもしれない。 麻雀をプレイするに当たって必要不可欠であるところの動作であるポンとかロン, チーなどの説明は殆ど一切ないと言ってよく, 麻雀のマの字も知らない視聴者にとってはある種の動作にしかみられない。丁度, 野球マンガで投球のストライクやボール, 或いは打球レヴェルで言うとバントやフライなどの説明がされないのと似ている。麻雀のルール説明は, 正確には(たぶん)基本的なルール説明がなされることがあるが, あくまである程度知っているヒト向け, という説明の仕方だろうし, 本当の素人はさっぱり分からない。
原作も, 初めの数巻は麻雀の用語説明みたいなものが載ってはいたが, ストーリーが進むにつれてその説明も減っていく。
捨て牌やツモなどの動作がある意味でダイナミックなのは見せ方として分かるとして, 麻雀の知識のない視聴者にとって何がマナーの悪い行動なのか分からないのも, 麻雀の知識があればより楽しめると思われる点である。(作中でもマナーが悪いと指摘される箇所はあるが, 実際に麻雀をしたことのあるらしい人からはたとえばニコニコ動画などでマナーの悪さを指摘するコメントがあるのは観ていて面白いことなのだけれど)
この作品がフィクションとして楽しめる前提として, 麻雀がこんなメジャーでポジティブに捉えられていること, しかも女子高生がやっているなんてありえないだろ, と思えるところにあると思う。咲の魅力は萌えと麻雀の融合, 或いは某アニメのような萌えと燃えの融合というところにあるのかもしれない。

特殊能力

前にスポコン少年マンガ風と言ったけど, 本当は少し違うような気がする。 構造として似ているところは, ①プレイヤーが独自の能力をもつ, ②環境に依存する, ③プレイヤーの能力が他の能力と衝突することがある, ④プレイヤーの能力が他の能力を助長することがある, とするところである(これらの特徴が実際のスポコン少年マンガの特徴と合致するかどうかは勉強不足で本当に明らかではない。したがって, これらの特徴は恣意的なものである, としておく)
しかし, 特殊能力は原作でもアニメでもあまり説明されることがない。それがどういう能力か, ぐらいのことまでは説明されるのだけれど, 他の能力との影響関係はどうなっているのかとか, 色々考えられそうなところが省かれている。そもそも麻雀が他のテーブルゲームに比べても難しく, 頭を使う戦略的なゲームであることから特殊能力に凝り過ぎるともはや麻雀でなくなってしまうということもあるのかもしれない。

キャラクター

留学生はともかくとして, 咲の周りには全国から色々な雀士たちが集まってきて, 彼女たちが織り成す人間模様というのもみていて楽しいけど, その土地でどう生きるかというところもみていて面白い。咲の舞台がローカルにいって長野県, 阿知賀編では奈良県なのだが, 具体的な地名は多く登場するし, 実家の家業や経済状況, 家庭環境なども描写していて素直に感心する。咲の第一印象としてはキャラゲーを見るような目つきで, かわいい女の子が麻雀するだけだろ, っていう悪い印象でしかなかったけど, 原作のマンガを読んでみると挿絵がおどろおどろしいことにまず驚く。緻密に描写されているためリアルに感じられるが, どこか物悲しい感じがする。