み(仮)

the best is the enemy of the good

武雄図書館メモのまとめ

1月2日の武雄図書館訪問について。まとめと書いたが, 文章化しただけのもの。twitterでつぶやいていたことが金の髭氏([@goldenhige]https://twitter.com/goldenhige)に何時の間にかまとめられていたようだが, 改めてまとめる。 武雄市図書館メモ20140103と情報提供 - Togetterまとめ
まとめの中で掲載されているふむ氏の情報提供にも感謝します。

とりあえず気になったのは4点。

  • バリアフリーについて
  • 分類番号について
  • 利用のしやすさについて
  • 利用者の満足度

バリアフリーに関しては, 施設のデザインを重視したことによる(らしい)無意味なスロープと, エレベータ, 多目的トイレの使いにくさが特に気になる点だった。身体障害者の利用に際しても, 介護者がいればまだ利用できるだろうが, 自立障害者, 特に一人で行動している障害者は利用しづらいのではないか, と思う。

分類番号に関しては金の髭氏の関連tweetに詳しかったが, 素人目で見ても意味不明な羅列であるだろう。あまり言う人もいないことだが, 日本の標準的な図書館分類である日本十進分類法(NDCとも。2桁から3桁, ないしはそれ以上の数字で書かれている例のアレ)を模倣したかのように数字で出来ており, なぜ件名の一部を付与した分類法を作らないのか, 理解に苦しむところである。NDCは慣れれば一般の利用者でも利用がしやすいようになっているが, タイトルから件名を取ることが多く, 内容を吟味したものではないとの批判もある。既存の図書館から逸脱することを良しとするのであれば, あえてそのような分類の仕方もあったのではないか, ということである。浅慮の元で作られた蔦谷の独自分類よりかはその方がマシだろう。 (※この辺りのことは某先生が「もっと民間らしさを」と示唆していたことの一つだろうと思われる)

書架分類法(?)もこのように滅茶苦茶であるから, 実際の棚もひどいもので, 目的のものがどこにあるのか迷うことも多い。販売用の棚と貸出用の棚がシームレスにあって, 本に一応の区別はあるものの, 一目でそれが販売用かどうかの区別がつかない。検索機もiPadを使用していて, 比較的画面が小さい中に情報量の多い<独自の検索システムのUI>なので, これも健常者向け。誤作動やレスポンスの悪さも目につくところ。そして何より, 本屋のように売れ線の文学, 芸術分野のものが広い一階, 政治経済など, あまり貸し出されないものが二階にあり, それはいいとしても二階が狭すぎて本があまりない環境。自習机が半分近く占拠してるので, その有様。一階の新聞コーナーも一目見て宗教紙が皆無だったりと, 図書館側による情報の差別化が行われていると言われても仕方のない有様だった。せめて新聞コーナーでたむろしている高校生をどうにかしてくれればよかったのだろうが, ふつう図書館が行うような注意喚起も行っていないらしい。 これでは貴重本の扱いがどうなるか, 心配になるのも分かる気がする。

ただ, 利用者の満足度は比較的高いようだった。やはり図書館の中にスターバックスがある意義は大きい。考えてみればふつうの本屋も兼ねているわけで, 本屋のすぐ近くに喫茶店があれば, その本屋は売れ行きがよくなるだろうし, 利用者の満足度が大きくなるのも頷ける。私が見たある子供はすぐ近くのゆめタウンからアイスを買ってもらっていて, それを美味しそうに別の出口付近で食べていた。そこには自販機もあるし, 別の店に行くことも出来るので, 便利な位置にあった。 併設の美術鑑賞エリアでは棟方志功が開催されており, 無料で観覧できるようになっている。私が訪れたのが1月2日で, 高齢者が多かったのだが, 考えてみれば正月に開いている美術展というのもそうそうない。最近ではデパートなどでサブカル系の展示を行っているが, それも美術館並みの高額で, 音環境は悪い。さらに正月などは混んでいることがあり, その点で図書館が開催する意義はかなりあると思う。(じゃあ図書館内で行うことでそのメリットを大きく出せているかといえば実は微妙なのであるが)

総じて, 地域密着型の大型書店が「無料貸出もやってます」と考えると, 腑に落ちる気がする。と言うか, それだけなら別に私としては文句がない。むしろ快適なものだとすら思う。だが, 公共図書館としてそれで本当に良いのか, と。他にも問題点はいくつもありそうで, twitterでも情報提供を受けたが, それだけ見ても私が気付かなかったことがいくつか。流鏑馬馬場を図書館設置に伴いつぶされたこととか, 分類番号の仕組み, スロープの新たな設置についても情報提供から分かったことだ。あとこれは書かなかったと思うが, 映像・音楽資料(CD/DVD)のスペースが小さいのは, 近くにレンタルショップがあるからだと思われるし, 蔦谷が図書館側に回ることで他レンタルショップとの住み分けが出来るのであれば, その点だけ見ると平和的解決ですらある。蔦谷式図書館の本当の是非は, 今後ネットワーク的にどう機能していくのか, 分類番号が敷衍していくことでどうなっていくのか(司書過程で蔦谷式分類法を学ぶなんてことになるのかどうか), 全てはまだ始まったばかりで分からない。

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*1:某所掲載の文章から更に修正を加えたもの。晒したくない情報は基本的には削除し, 某所で載せられなかったtwitter関連リンクなどを載せた