み(仮)

the best is the enemy of the good

「華氏451」

華氏451
フランソワ・トリュフォー / 1966年 / イギリス・フランス / 112分

#SF, 読書(論), 平等, 共同体, TV, 職業, 有用さ

読書が禁じられた世界で, 読書の悦びを知ってしまう男の話。男の職業は「消防士」で, 火を消す仕事ではなく, 逆に本を燃やす仕事である。設定にあまり無理はないが, SF映画的にメッセージ性が強く打ち出されているので, 映画として楽しむ場合は感想がそこに限定されがちなのが惜しい。

読書もTVも程々に…と言ってしまえばそれだけ。しかし, 平等を目指す社会が読書文化を否定するというのは, 一つの仮説にすぎないとしても起こりうることではある。また, <追記:読書は絶対に守るべき文化なのか? 読書を放棄してバカのまま幸福を得ることもできるのではないか…そういった考えも浮かぶ。だが, 思想に生きようとする限り, 読書は捨ててはならない習慣であり, 文化なのである。ここで, >読書人は読書の意味を改めて問い直す必要も生じてくる。<バカは思想の上では否定され, 超越されるべき存在である。>そのうえでこそ, 平等理念は否定されるべきものである。

それはともかく, 撮影のまったりとした不可解なまでの不気味さはよく演出されていると思う。と思ったら撮影にニコラス・ローグが参加している。偶然なのか?
(2/18) , 評価:B

2013.2.23 追記